第19章:終わりと始まりの選択
[υ] - εγλ 0006/12/19 AM2:00 ニブルヘイム


AM2:00。

ザックス「クラウド、うまくいったぞ。外の空気なんて久しぶりだな」

クラウドに肩を貸す状態で神羅屋敷を出て来るザックス。

「クラウド、心配するな。絶対逃げきってみせる。誰も俺達のことを知らない所でゆっくりしような」

「・・・・・・」

ザックスの声に反しないクラウド。


画面切り替え。深夜。

ロッド「ツォンさん。ニブルヘイム付近の森に到着しました」

ツォン「ターゲットは脱走した研究サンプル。その森に逃げ込んでいると思われる。発見次第捕獲しろ」

ロッド「リョウカイ」

ツォン「軍も動いている。用心しろよ」

今回の任務は脱走した研究サンプルを捕獲すること。

ツォンへの報告を終えた後、人の気配をに気付いたロッド。

ロッド「(誰か来る。隠れよう)」

木陰に隠れると、神羅軍の兵士がやって来た。

兵士「ここにもいない・・・本当に研究サンプルはこの森に逃げ込んでんのか?」

兵士「タークスもこの森に向かっているらしい」

兵士「だったら間違いないな」

兵士「ここで手柄を上げれば軍の地位が上がる。研究サンプルは、タークスなんかに渡すわけにはいかない。なんとしても俺達が先に見つけるぞ」

兵士「ああ。こっちは人数が多いんだ。この辺りはすべて捜索中だ。負けるわけない」

二手に分かれてサンプルを探しに行く兵士。
兵士の一人を気絶させ、無線を奪うロッド。

ロッド「(ターゲットは研究サンプル・・・セフィロス事件の被害者だ。あの時、俺は村人達を助けたつもりだった。でも生き残りは実験台にされた。あの研究室でどんな実験がされたんだ。結局俺は村人達を助けられなかった。俺はまた、彼らの自由を奪うことになるのか。あの時・・・確かに俺は被害者を研究室へ運ぶのを拒否した。でも、今やってる事はあの時の抵抗と真逆じゃないか)」

まだ脱走した研究サンプルがザックス達とは知らないロッド。

無線を使い兵士を上手く誘導して倒木を退かせたりしながら、サンプルの探索を続ける。
探索していると、気絶している兵士達の姿が。

ロッド「(せめて俺が先に見つけてやろう)」

進んでいくと浜辺に出る。
砂浜に立ち、海を見ている人物を発見。


ロッド「(見つけた。泳いで逃げるつもりなのか? 普通の人間なら無理だ。それとも実験で強じんな肉体を手に入れたのか)」

するとその人物がこちらに気付き、走ってきた。

ザックス「よう!ロッド久しぶりだな」

ロッド「お、お前は!」

声を掛けてきた相手が誰なのかに気付くロッド。

ロッド「ザックス!? 逃げ出した実験サンプルってザックスだったのか」

ザックス「そういうこと」

ロッド「あの実験で何をされたんだ?」

ロッドから視線を逸らし、海を見るザックス。

ザックス「ん〜・・・まぁ・・・いろいろとね」

ロッド「そうか・・・」

何かを察するロッド。
ロッド「・・・あの時はすまなかった。俺がしっかりしていれば・・・あの時はこんなことになるなんて思わなかったんだ」

ザックス「気にすんなって。俺はロッドのこと恨んじゃいないぜ。タークスのせいじゃないってことも分かってる」

ロッド「・・・・・・」

ロッドに視線を戻すザックス。

ザックス「なぁロッド。俺達を連れ戻しにきたんだろ?」

ロッド「・・・・・・」

ザックス「頼む! 見逃してくれ!」

ロッド「!!」

ザックス「軍なら逃げきれると思ってたけどな。さすがにタークスが相手じゃちょっと逃げきれない」

ロッド「ザックス・・・ごめん!」

謝りながら武器を繰り出すロッド。
それを避けるザックス。

ロッド「任務なんだ・・・」

ザックス「ロッドも俺達と同じだな。神羅にとって都合のいいマシーンだ」

戦闘開始。
しかしザックスは何もしてこない。
暫く経つと戦闘終了。
走り出すザックス。

ロッド「ザックス! 待ってくれ!」

ザックス「来るな! もし来たら・・・次は本当に・・・」

後を追うロッド。
前方に立ち止まっているザックス。
再び戦闘。
しかし何もしてこないザックス。

ロッド「(あの時・・・俺はタークスに疑問を感じた。それなのに・・・いまだにタークスを続けてる・・・)」

ロッド「(勝てる気がしねぇ・・・)」

ロッド「(さすがソルジャー1st)」

ザックス「どうした?」

ザックス「どこを狙ってる?」

ザックス「もうバテたか?」

ザックス「こりないね」

ザックス「ロッドは俺を倒せない」
ザックス「諦めてくれよ」

ザックス「今ならまだ間に合うぜ」

ザックス「俺はロッドを傷つけたくない」

ロッドが一方的に攻撃して戦闘終了。
ザックスはほとんど無傷の様子。
ザックスの後を追おうとするが途中で立ち止まり、ロッドは海を見つめる。

ロッド「(俺は・・・本当は・・・どうしたいんだろう・・。俺にタークスを続ける資格あるのか・・・?)」


画面切り替え。
道端に寝かされているクラウド。そこへザックスが戻ってきた。

「クラウド待たせたな。軍もタークスもいる。今動くのは危険だ。今日はここで朝まで休もう。明るくなったら出発だ。ま、気長にいこう」

その時、人の気配を感じてザックスは構える。
やってきたのはロッド。

ザックス「ロッド!?」

ロッドはザックスの隣にもう1人誰かいる事に気付く。

「クラウド・・・?」
クラウドに近付こうとするロッドを、大剣で制するザックス。
ザックス「どうして来たんだよ!? 来るなって言っただろ」
ロッド「クラウドの様子がおかしい。病気か?」
ザックス「魔晄中毒さ。それも重度のな」
ロッド「!! 実験のせいなのか?」
ザックス「ああ」
ロッド「・・・・・・」

ザックスから話を聞いたロッドは、ツォンに連絡を入れる。

ロッド「ツォンさん。ターゲットに逃げられました」

ザックス「ロッド・・・」

剣を下ろすザックス。

ツォン「どういうことだ? 経緯を説明しろ」
ロッド「ターゲットはセフィロス事件の被害者です」
ツォン「・・・それは分かっている」
ロッド「しかもザックスだ!」
ツォン「!! (やはりザックスなのか!?)」

逃亡者が誰かはツォンにも知らされていなかった。

ロッド「ツォンさん。あの時俺達は被害者を研究室に運ぶのを拒否したはずだ」
ツォン「作戦は失敗だな。ロッドは速やかに本部へ帰還」
ロッド「ツォンさん! 聞いてください!」
ツォン「・・・・・・」
ロッド「俺は見てきます。あの研究室で何が行われたかを!」

一方的に電話を切り、ザックスに告げるロッド。

ロッド「そういうことだ。気をつけろよ」

二人に背を向け去って行くロッド。
ザックス「ロッド。サンキューな」


画面切り替え。タークス本部のツォン。

ツォン「おいっ! 待て! ロッド!! くっ・・・切れてる」

そのやり取りを傍で聞いていたルーファウスが口を開く。

ルーファウス「フッ。その様子じゃ、またロッドが暴走でもしたようだな」

ツォン「い、いえ・・・(ロッド・・・軍も動いている 用心しろよ)」


画面切り替え。
神羅屋敷へやって来たロッド。

ロッド「(ここで・・・ここでどんな実験が行われていたんだ・・・そうだ。あの書庫に記録があるかも。行ってみよう)」

書庫へと向かうと、本棚の前に意外な人物が。

ロッド「ヴェルド主任!!」

武器でもある義手を、ロッドに向けるヴェルド。

ヴェルド「ロッドか。久しぶりだな。俺の抹殺にでも来たのか?」

ロッド「主任・・・俺達にはヴェルド主任の抹殺指令が出ています。でも・・・俺は・・・主任の抹殺はできない!」

ヴェルド「! ・・・・・・タークスも神羅も裏切るつもりか?」

ロッド「ずっと考えていたんです。神羅は確かに目的のために手段は選びません。でも、神羅が無なければ困る人が山ほどいるのも事実・・・。それに俺は、主任が俺達に託してくれたタークスを残したい。だから俺はタークスのままヴェルド主任に協力します。今の俺にできるのはこれしかないから・・・」

義手を下ろすヴェルド。

ヴェルド「ロッド・・・お前がついてくれると力強い」

主任の隣に駆け寄るロッド。

ロッド「主任はなぜここに?」

ヴェルド「フェリシアを助ける方法を探している。フェリシアはここでマテリア融合の処理を受けた。だから何か資料が残っていると思ってな」

ロッド「何か分かりましたか?」

ヴェルド「この3年でやっと少し分かってきた。マテリアを体内に埋めたままでは、フェリシアは確実に死ぬ。娘を助ける為には、あるマテリアが必要だ。そのうちの一つはタークスのもとにあるはずだ」

ロッド「コレルで手に入れたマテリアですか?」

ヴェルド「その通り」

ロッド「? (主任はどうして知っているんだ?)」

このマテリアについては、単独でエルフェを追っているヴェルドには知る筈もないので、疑問に思うロッド。

ヴェルドと共に資料を探していたロッドは何かを発見する。

ロッド「ん? ! 主任、この本メモが挟まってます」

ヴェルド「なに・・・」

ロッド「読みます。『封印した扉の奥に、重要な研究サンプルを保管する』」

ヴェルド「扉の奥に求める物があるかもしれない」

ロッド「そうですね。あ、扉の開き方も書いてあります。『扉は3つのナンバーを入力すれば開く。ナンバーの隠し場所は次の通り。「知識の蔵」「夢の入り口」「火竜の喉」』」

ヴェルド「『知識の蔵』 ・・・ここのことか?」

ロッド「なるほど。そうかもしれません」

ヴェルド「そういえば・・・さっき紙切れを拾った。『30』と書いてあるな これがナンバーか」

ロッド「早速他も探しましょう」

屋敷内を探し回るロッドとヴェルド。
ナンバーを集め、ある扉の前に向かう。
集めたナンバーを入力すると、扉が開く。
その先は薄暗く、棺桶が複数置いてある。

ロッド「棺桶棺がある・・・」

ヴェルド「中にマテリアが入っているかもしれない。開けてみよう」

棺桶を開けると、中には人が。
中で眠っていた人物へ目を覚まし、立ち上がる。驚くヴェルド。

ヴェルド「ヴィンセント?」

ヴィんセント「ヴェルドか」

ロッド「ヴェルド主任のお知り合いですか?」

ヴィンセント「元タークスだ」

ヴェルド「大昔の同僚だ」

そこへ突然、アバランチが現れる。

ヴェルド「聞きたいことは山ほどあるが・・・」

ヴィンセント「話している暇はないようだな」

ヴェルド「お前、戦えるか?」

ヴィンセント「問題ない」

ヴェルド「ならばそのタークスのフォローを頼む」

ヴィンセントと共闘。アバランチを撃破。

ヴィンセント「久しぶりだな」

ヴェルド「その姿はいったい?お前が姿を消した頃のまま変わっていないようだな」

ヴィンセント「時間の経過など私には何の意味もない。どれほどの年月が過ぎたかなど興味がない」

ヴェルド「・・・宝条のしわざか?」

ヴィンセント「悪いが・・・ ・・・話せない。私はここで過去に犯した罪の罰を自らに科している」

ヴェルド「・・・そうか」

ヴィンセント「ヴェルド。なぜこんな所へ来た?」

ヴェルド「俺達はある特殊なマテリアを探している」

ロッド「このマテリアです。中央にピラミッド型の結晶が入っています」

マテリアを見せるロッド。

ヴィンセント「それなら見た事がある。ステンドグラスの部屋に行ってみるがいい」

部屋の外から立ち聞きしていたアバランチが走って行く。
その気配に気づいた、ヴェルド。

ヴェルド「! しまった、今の話を聞かれた。ヴィンセントまた会おう」

部屋を出て行くヴェルド。

ヴィンセント「(私はここから離れるつもりはない。私はここで罪を償いつづけなければならない)」

ロッド「主任! 待ってください!」

ヴェルドを追い掛けるロッド。
その様子を見ていた神羅兵が走って行く。


ステンドグラスの部屋に到着。
レイブンに囲まれるヴェルド。乱入するロッド。
戦闘時に壁が崩れ、隠しボタンを発見。
押すと宝箱が現れる。

ロッド「あった。エルフェと同じマテリアです!」

ヴェルド「これで二つだ。あと二つ集めれば・・・」

ロッド「4つ集めるとどうなるんですか?」

ヴェルド「フェリシアが助かる。フェリシアのマテリアは、欠損部分を補うために娘の命を吸収している。4つのマテリアがその欠損を補えば、娘の命の吸収が止まる」

ロッド「あと二つ・・・なんとしても探しだしましょう」

その時、ヴェルド目掛けて銃弾が。
ヴェルドに駆け寄ろうとしたロッドも撃たれる。
倒れるロッド。落ちたマテリアがレイブンに奪われる。

なんとか立ち上がり、レイブンを追って屋敷の外へ。
そこにはレイブンとフヒトがいた。

ヴェルド「フヒト! フェリシアを返してもらおう」

フヒト「お断りいたします。エルフェの身をお考えなら、下手な真似はなさらないように。私のもとにエルフェがいることをお忘れなく」

ヴェルド「くっ」

フヒト「フフフ。ではごきげんよう」

去って行くフヒト。

ロッド「主任! 追いましょう」

追い掛けようとするロッド。しかし、ヴェルドがロッドの道を塞ぐ。

ロッド「ど・・・どうしたんですか?」

ロッドに攻撃するヴェルド。

ロッド「主任・・・どうして・・・」

ヴェルドが一人でフヒトを追い掛けて行く。
神羅兵が姿を現わす。倒れているロッドに気付き、走り去る兵士。

ロッド「ん? (兵士に見られていたのか。それで主任はごまかすために)」

立ち上がり、ヴェルドの後を追おうとしたロッドだが、足下にメモが落ちていた。

ロッド「ん? (なにかのメモ・・・? 主任が落としたものか?)」


『ロッドへ。残りのマテリアがありそうな場所をリーブに聞いてくれ。頼んだぞ。ヴェルド』


ロッド「ツォンさん達に知らせなきゃ」


画面切り替え。神羅本社ビル会議室。

神羅兵が社長に何かを渡している。

神羅兵「社長。兵器開発部門総括からの密書を届けにきました」

社長「スカーレットからの密書? 分かった読んでおく。下がってよい」

神羅兵「失礼します」

社長「いったいどんな情報だ?」


『タークスは、抹殺指令が出ているヴェルドの逃走を助けています。これは明らかな背任行為です。タークスは廃止して、兵器開発に資金を集中すべきです。ヴェルド抹殺の件も、私が請け負う用意があります』


社長「(タークスめ・・・今すぐにでも潰したいところだが・・・タークスの元にはルーファウスが・・・どうすべきか・・・)おい! スカーレットを呼べ!極秘指令を出す!ヴェルドの捕獲だ!」


画面切り替え。タークス全メンバー勢揃いしている。
(BEFORE CRISISトレーラーに含まれる場面)

ツォン「私達タークスはヴェルド主任に協力する」

レノ「これは会社への反逆だぞ、と」

ツォン「命の危険にさらされるだろう」

レノ「もとより承知だぞ、と」

ルード「今まででもそうでした。何も変わっていない」

ロッド「タークスだからこそ出来る事がある。やっとタークスを続ける理由が見つかった」

レノ「今ごろかよ? 遅すぎるだろ、と。ま、それを言うなら俺もだけどな」

ルード「・・・おれもだ」

ツォン「私達はもう後戻りできないぞ」

ロッド「ツォンさん心配いりません。もう迷わないぜ。俺達が主任とエルフェを助ける」



20章

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