第17章:牙をむく混沌の噴出
[υ] - εγλ 0003/5/8 PM1:00 コレル魔晄炉


魔晄炉の最下層で倒れているロッド。

ロッド「うぅ、はっ!ここは・・・(魔晄炉の最下層部か・・・シアーズのせいで落ちたんだ・・・)」

立ち上がる。周りは薄暗くよく見えない。

ロッド「くっ(魔晄炉が爆破されたんだ。急いで逃げねぇと建物が崩れたら閉じ込められてしまう。でも・・・脱出経路が分からない・・・とりあえずツォンさんに連絡だ)」

シアーズ「無駄だ。ここをどこだと思っているのだ。こんな地下深くで電波が届くわけないだろ」

目が慣れたのか、視界が広がる。少し離れた所に立っているシアーズ。

ロッド「はっ! シアーズ!!(まずい! やられる前にやるまでだっ)」

シアーズに向かって走り出すロッド。

シアーズ「動くな。お前、ここの事を何も知らないようだな」

立ち止まるロッド。

ロッド「お前は知っているのか?」

シアーズ「フッ、ルーファウスだ。奴が設計図をアバランチに流していたからな」

ロッド「だったら案内してもらおう!」

シアーズ「フン、そうはいくか。お前こそここで終わりだ!!」

戦闘開始。

ロッド「(おかしい・・・いつもほどの手ごたえがない)」

シアーズ「どうした? 決着はまだついてないぞ」

ロッド「お前・・・もしかしてケガ・・・してるのか?」

シアーズ「関係ない。お前などすぐに倒してやる」

ロッド「(もしかして俺の下敷きになったのか?だったら俺が無傷に近いのも納得できる)」 背後から何か気配を感じたシアーズ。振り返るとモンスターが襲って来た。
ロッドの背後にもモンスターが。

ロッド「くそっ、ここにもモンスターが!」

シアーズ「くっ、仕方ない。まずはこっちを片づけるしかないな」

ロッド「ああ、休戦協定成立だな」

シアーズ「フン、お前の助けなど不要だ」
ロッド「お前こそ! 決着つける前に死なねぇでくれよ」

モンスターを倒す。

ロッド「(とにかくモンスターを全部倒そう。あいつよりも早く終わらせてあいつのスキを狙おう)」

連戦。

ロッド「よしっ、こっちは片づいた! (余裕だったな)」

モンスターを倒し終わった直後の、シアーズの背後に立つロッド。
それに気付いたシアーズ。

シアーズ「くっ、やるならやれ」

ロッド「いいや」

シアーズ「何!?」

ロッド「お前を連れていく。ここはもうすぐ崩壊する。でも俺はここの構造を知らない。だからお前に道案内をしてもらう」

シアーズ「フッ、せいぜい気を抜くな。この距離ならいつでもお前を殺せるぞ」

ロッド「ばかにするな。俺はこんなところで死ぬつもりはない。俺は必ず生きてここを出る!目的のためなら手段は選ばない。それが俺たちタークスだ!」

シアーズと協力して魔晄炉脱出を目指す。


画面切り替え。魔晄炉入口で待つツォン。

ツォン「ロッド・・・まだなのか・・・」

レノ「副社長。もう少し待ってください、と」

ルード「ロッドはきっと戻ります」


画面切り替え。魔晄炉内のロッドとシアーズ。

二人で走っているとレイブンに前後を挟まれる。

ロッド「来るな。それ以上近づくとシアーズの命はないぞ」

シアーズを人質に取ってみるロッド。
しかし気にした様子もなくレイブンは近付いてくる。

ロッド「なにっ!?」

シアーズ「フッハッハッハッ。無駄だ」

ロッド「どういうことだ!?」

シアーズ「こいつらは俺も始末しようとしている」

ロッド「お前・・・アバランチに裏切られたのか?」

シアーズ「そのとおりだ。俺はフヒトに突き落とされた」

ロッド「(だから落ちてきたのか)だったらレイブンを倒すしかねぇな! もちろんふたりでだ!」

シアーズ「タークスとの協力など断る!だが、今はそんなこと言ってる場合じゃないな。行くぞ」

シアーズと共闘。
戦闘後、シアーズが何か光る物を落とした事に気付くロッド。

ロッド「(なんだろう? マテリアか?)珍しいマテリアだな。中にピラミッド型の結晶が入ってる。あ」

素早く拾い上げるシアーズ。

シアーズ「これは俺が見つけたマテリアだ。お前には関係ない」

気にせず再び走り始める二人。
再びレイブンと遭遇。戦闘が続く

ロッド「内通者の副社長を裏切り、シアーズや部下さえ使い捨てる・・・エルフェは一体なに考えてんだ!?」

シアーズ「エルフェもフヒトに利用されているんだ」

ロッド「フヒトが黒幕?」

シアーズ「あいつの真の野望は生命の根絶。全ての生命を星に帰して、星の寿命を長らえようとしている」

ロッド「おいおい物騒だな。そんなことできんのかよ!?」

シアーズ「可能らしい。エルフェのマテリアを使えばな!」

ロッド「エルフェのマテリア!?」

シアーズ「そうだ。エルフェの手の甲にはマテリアが埋められている」

レイブンを全て倒すと、苦しそうな素振りを見せるシアーズ。

ロッド「無理するな!」

シアーズ「フン、お前に心配されるほど落ちぶれていない」

背を向けるシアーズ。

ロッド「教えてくれ。エルフェの手の甲にあるマテリアってどういうことだよ?」

シアーズ「俺がさっき落としたマテリアだ。あれにそっくりなのがエルフェの手の甲に埋まっていた」

ロッド「確かにエルフェは手から光を出していた。それで俺の攻撃はまったく通用しなかった」

シアーズ「分からない。だが、フヒトはそれを使って命の根絶を目指している」

ロッド「でもまだ何も起きていないぞ?」

シアーズ「発動できないらしい。フヒトは発動する方法を探しつづけている」

ロッド「発動させるわけにはいかねぇな」

シアーズ「当然だ。発動するとエルフェに悪い影響が起きるかもしれない」

先程のエルフェを思い出すロッド。

ロッド「さっきも倒れていたな」

シアーズ「今までも昏睡を繰り返していた。だがさっきのエルフェの昏睡は異常だった。フヒトの様子も変わった」

ロッド「それでフヒトに裏切られたのか」

シアーズ「ああ。今の俺の目的はただひとつ。エルフェをフヒトから守ることだ」

ロッド「そのためには」

シアーズに駆け寄るロッド。

ロッド「早いとこ、ここから出ねぇとな。俺の肩貸すぜ」

シアーズ「お前・・・」

ロッド「俺もエルフェを助けたい。エルフェはヴェルド主任の娘さんだからな。それにフヒトを放っておいたらやばそうだ」

シアーズ「・・・・・・」

ロッド「昔に聞いたことがあるぜ。組み合わせて初めて使えるマテリアがあるらしい」

シアーズ「だったら、これが役に立つ日がくるかもしれないな」

ロッド「ああ。さぁ行こう」


二人で暫く走っていると、シアーズが話し掛けてきた。

シアーズ「お前はなぜ神羅で働く?タークスなら神羅の裏の顔も知ってるんだろ?」

ロッド「まぁな」

シアーズ「俺の両親は神羅に殺された。俺は神羅への恨みを抱きながら、盗賊団に拾われて育った」


『しかし俺はその恨みを晴らす術さえ持たずに、ひたすら暴れていた』

『気付いたら100人もりう盗賊団のリーダーになっていた』

『俺達は毎日ひたすら大物を狙っていた』

『まるで自分の中にある穴を埋めるための何かを探しているように』

『あの頃の俺は、戦いで感じる拳の痛みが、只一つの生きている実感だった』

『そんな時だった』

『俺達の前にエルフェが現れたのは』

『太刀筋が全く見えなかった』

『エルフェが俺に、進み道を照らしてくれた』


シアーズ「そのときに決めたんだ。エルフェのそばでエルフェを支え続けようとな」

突然揺れる通路。落下する鉄骨。
出口へ急ごうとするロッド。しかし、苦しそうなシアーズ。

そこへ現れるレイブン。

ロッド「シアーズ! 無理するなよ!!」

シアーズ「分かっている」

シアーズと共闘。連戦。
頭上から鉄骨が次々と落下してくる中、出口に向かって走り続ける二人。
しかし、体が限界に近付きつつあるシアーズが、苦しげに立ち止まる。

シアーズ「通路も壊れだした。もう時間がない。出口はこの先だ。俺に構うな」

ロッド「もう少しだろ、間にあう」

シアーズ「無理だ。このままじゃ二人とも逃げおくれる」

ロッド「エルフェを助けたいんだろ!?」

シアーズ「俺はこの体だ。ここから生きては出られないだろう。フヒトの野望を止めろ。エルフェを助けてくれ」

ロッド「断る」

シアーズ「なにっ!?」

ロッド「任務遂行のためなら手段は選ばない。それが俺たちタークスだ!!全力で走れ!」

鉄骨を避けつつ走るロッド。

ロッド「シアーズ! 後ろ!!」

自分達が通って来た通路が、凄まじい速さで崩れ落ちて行くて!
足場が脆くなっている通路をギリギリ脱したものの、膝を着き、立てなくなるシアーズ。

ロッド「おいっ! しっかりしろ!! 諦めるな。出口はもうすぐだ」

シアーズを支えながら走るロッド。そこに落ちて来た鉄骨。
いち早く気付いたロッドはシアーズを突き飛ばし、ロッドに鉄骨が直撃する。

シアーズ「おい、無事かっ!?」

ロッド「うぅ・・・」

ふらつきながらも走り出すロッド。

ロッド「平気だ、急ぐぞ」


出口の明かりが見えて来た所で、前方の床が崩れて、脱出出来なくなる。

ロッド「床が・・・うそだろ・・・」

シアーズ「ここまでか。扉はすぐそこなのに! くっ(もう時間がない)ロッド! 歯を食いしばれ!!」
ロッド「!?」

シアーズの渾身の一撃。ロッドを崩れた床の向こう側まで吹き飛ばす。

「エルフェを頼む!!」

マテリアも出口の方まで投げる。
崩れて行く床。

シアーズ「エルフェを助けるためなら手段は選ばない。俺もタークスになれたかもな・・・」

シアーズの足元の床も崩れる。
暗闇の中に落ちて行くシアーズ。


魔晄炉の出口まで飛ばされ、倒れているロッド。
出口でずっと待っていたレノが気付く。
そこへルードも走って来る。
倒れたまま動かないロッドの様子を見るレノ。ロッドの傍らにはシアーズから託されたマテリア落ちていた。


数時間後? 画面切り替え。神羅本社ビル会議室。

ツォン「コレルから帰還しました」

社長「ルーファウスの件はよくやった。あいつはどうしている?」

ツォン「タークス本部の隠し部屋に収容しました」

社長「その部屋の設備は整っているのだろうな?」

ツォン「ご安心下さい。副社長のために特別室に改装しています」

収容されているルーファウスの映像。
部屋の前には見張りのレノとルードの姿。

社長「ならよい。ツォン、あいつとアバランチの関係、そして今あいつがタークス本部に監禁されていること。これを知るのはわしとタークスのみ。重役にもいっさい明かさない」

ツォン「はっ」

社長「せっかちな息子だ。いずれ社長の座は譲るつもりであったものを・・・今後は24時間監視を続けろ。またバカなマネをしでかさないようにな」

ツォン「はっ」

社長「その他の報告は?」

ツォン「負傷者が1名。ロッドが意識不明の重体です。強烈な衝撃を受けたようです。魔晄炉転落時に微弱な魔晄に長時間さらされています。この影響がどう出るかはロッドの体質次第です。いずれにせよ予断を許さない状況です」

社長「タークスの別動隊を合流させろ」

ツォン「!? 別動隊をですか?」

社長「仕方あるまい。欠員が出る以上、補充が必要だ」

ツォン「はっ」

社長「で、他の報告は?」

ツォン「・・・・・・」

社長「ルーファウスから報告があったぞ」

ツォン「・・・・・・」

社長「ヴェルドが失踪したとな」

ツォン「は、はい・・・」

社長「今後はお前がタークスを統括することになる。だからよく覚えておくがいい。タークスは我が社の機密を扱う部署だ。したがってタークスを退職する条件は、死あるのみ」

ツォン「・・・・・・」

社長「よってタークスに新たな任務を与える。ヴェルドを捜しだせ!そして必ずや抹殺しろ!!」

ツォン「は・・・」

社長「あいつは我が社の機密を知りすぎている」

ツォン「しかし・・・」

社長「新主任の活躍を期待しているぞ」

ツォン「(ヴェルド主任を抹殺!? 私はいったいどうすればいいんだ・・・)」



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