第16章:抗えぬ運命の濁流
[υ] - εγλ 0003/5/8 AM8:30 コレル村


コレル魔晄炉に集まっているアバランチ兵達の前にフヒト、シアーズ、エルフェが現れる。

エルフェ「この魔晄炉はアバランチが占拠した。これ以上魔晄炉を増やしてはならない。これ以上神羅の暴挙を許すことはできない。この占拠で世界に神羅の悪事を訴えよう!そして神羅に対して、物理的経済的社会的にダメージを与えるのだ!」

フヒト「間もなく神羅が攻めてくるでしょう。皆さん全力を尽くして抵抗してください」

シアーズ「もう一度思い出すんだ。これまで犠牲になった仲間達の想いを!!あいつらの為にも必ず神羅を潰そう!」

アバランチ兵「神羅に裁きを!」


画面切り替え。
コレル村のツォン、レノ、ルード、ロッド。

ツォン「ここから単独行動に移る。最後にもう一度、任務の確認をしておくぞ。私達の任務は、アバランチに占拠された建設中の魔晄炉奪還。魔晄炉潜入を四方から試みる。コレルを失うと我が社の存続は危うい。慎重かつ迅速に任務を遂行すること」

ロッド「リョウカイ」

レノ「次に会うのは魔晄炉の中だぞ、と」

ルード「しくじるなよ」

ロッド「当然だろ、急ごう」


画面切り替え。コレル山炭鉱で作業しているバレット。

バレット「よし。このトロッコも問題ないな。これで今朝のトロッコ点検は終わりだ。皆が来たら、いつでも石炭を掘り始められるな」

そこにアバランチ兵が現れる。

アバランチ「おい」

バレット「お前誰だ? 見かけない顔だな」

アバランチ「この炭鉱は今から封鎖する。出て行ってもらおう」

バレット「なんでだ!?

アバランチ「魔晄炉の建設に関わる事だな」

バレット「魔晄炉建設の作業員か。魔晄炉のためなら協力するしかねぇな。村人はみんな魔晄炉に期待してんだ。言ってみりゃ、この村の希望だぜ。早いところ完成させてくれよな」

疑いもせず、炭坑を出て行こうとするバレット。

バレット「建設もいよいよ大詰めか。コレル魔晄炉・・・あれができればこの村ももっと栄えるよな。今は魔晄の時代だ。時代の波には逆らえないぜ」

バレットが炭坑内を歩いていると、前方からロッドが走って来た。
お互いに道を譲ろうと避ける2人。
ロッドが左へ避けるとバレットも左へ、ロッドが右へ移動するとバレットも右へ移動する。

バレット「おっとすまねぇな」

再び左へ移動した所、バレットも左へ移動する。

バレット「おいおい。どうやら気が合うみたいだな」

ロッド「そうだな。急いでたもんですまなかった。それよりあんたここの人だろ? 魔晄炉へはここを真直ぐでいいんだよな?」

バレット「おう。だが今日は魔晄炉には近づけねぇぜ。工事の大詰めらしい」

ロッド「何? あんた騙されてるぜ」

経緯を説明するロッド。

ロッド「・・・・・・ってことなんだ」

バレット「なんだって!? あいつらは工事を妨害してたってのか!?」

ロッド「そうだ」

バレット「あいつら許せねぇ」

ロッド「俺はそれを排除しにきた」

バレット「そいつぁ、ありがてぇ。オレに出来る事があったら言ってくれ。手伝うぜ」

ロッド「あいつらに気付かれずに、魔晄炉に近付きたい。抜け道とかねぇか?」

バレット「俺が近くまで案内してやるよ」

ロッド「ありがとう、助かるぜ。俺はロッド」

バレット「オレはバレット。さぁこっちだ」

バレットと共に魔晄炉へ向かうロッド。
途中、アバランチによる妨害等を避けながら進んで行く。

バレット「これで炭坑からは出られるぜ。そしたら魔晄炉はすぐだぜ」

ロッド「助かった。サンキューな」

出口へと向かって走ると、巨大な岩が転がり落ちて来た。

ロッド「うわっ」

倒れ込むものの、ケガが内事に気付くロッド。

ロッド「あれ? 痛くない」

バレット「・・・うぅ・・・」

振り返ると、バレットが岩を受け止めていた。

バレット「早く・・・行きやがれ・・・さすがの・・・オレも・・・いつまで踏んばれるか分からねぇ」

ロッド「あ、ありがとう」

走り出すが途中で立ち止まるロッド。

ロッド「バレット助かったぜ。あんたの為にも、必ず魔晄炉は取り返してみせる」

バレット「ロッド・・・頼んだぞ・・・コレルの未来はおまえにかかっている。必ず魔晄炉を取り返してくれよ」


画面切り替え。神羅本社ビル会議室。

ヴェルド「社長。副社長が出発されたようです」

社長「くっ。ルーファウスめ・・・あいつがバカな事をしでかさないように止めろ」

ヴェルド「はっ」

社長「事態は深刻だ。極秘かつ緊急の対策を取るのだ。あいつのせいで神羅カンパニーを潰すわけにはいかない!なんとしても我が社を守りぬけ!」


画面切り替え。周辺の様子を窺うロッド。

ロッド「あそこが魔晄炉入り口だな。それにしても凄い警備だ。皆は大丈夫かな・・・(とにかく急ごう。なんとしても魔晄炉を奪還するぜ)」

アバランチを倒しながら、橋を渡りきるロッド。

ロッド「やっと着いた(ついに魔晄炉に入るぞ。バレットは魔晄炉に期待していた。だからあの時、俺を助けてくれたんだ。バレットのためにも魔晄炉は必ず取り返そう)」


魔晄炉内部へ侵入したロッド。辺りを見渡す。

ロッド「(どういうことだ? 中はガラガラじゃないか・・・外はあれほど警備していたのに・・・)」

前方の吹き抜け部分に意外な人物を見付ける。

ロッド「!! あなたは!!」

ルーファウスがいる事に驚くロッド。

ロッド「副社長・・・」

ルーファウス「あの人数の警備を破ってここまで来たか。さすがはタークスだな。君達には、私もずいぶんと悩まされたものだ」

ロッド「なぜこんなところに!?」

ルーファウス「アバランチが勝手なマネをするからだ」

それぞれ別の通路からツォン、レノ、ルードが現れる。

ツォン「!? 副社長・・・?」

レノ「!? なぜ・・・?」

ルード「!? ここに・・・」

ツォン「副社長・・・これはどういうことですか?」

ヴェルド「お前達! 副社長を捕らえろ!」

突然現れたヴェルド。
驚く4人。

ツォン「主任!」

ルード「なぜここに!?

レノ「いったいなぜ!?」

ヴェルド「副社長がアバランチを操っていたんだ」

ロッド「予想外の展開だ」

ルード「でも・・・」

レノ「これで納得できたぞ、と」

ツォン「アバランチに情報が漏れていたからな」

ヴェルド「これは社長からの極秘任務だ。副社長をタークス本部の隠し部屋に幽閉する」

ロッド「(副社長を本部に幽閉だって!?)」

ルーファウス「フッ、ヴェルド君。今ここが、どのような状況にあるのか忘れたのか?」

フヒト「フフフ」

笑い声が聞こえた方向、吹き抜け部分の上の階の通路を見上げるタークスメンバー。

フヒト「その通りです。私たちが占拠しております」

ロッド「フヒト! やっぱり生きてやがったのか!」

上階にはフヒトとアバランチ兵達。

ルーファウス「フッ、形勢逆転だな。さぁフヒト君。タークスを始末したまえ」

ツォン「完全に包囲されている」

ルード「いつの間に・・・」

レノ「このままじゃ、俺達、蜂の巣だぞ、と」

ルーファウス「この魔晄炉の占拠は私の指示ではない。これは契約違反だ。契約違反には厳重な対処が必要だ、本来はな。だが、このタークスを始末すればそれは不問にしよう」

フヒト「フフフ、お断りします」

ルーファウス「なんだと? 貴様裏切るのか? 資金の援助が途切れるぞ」

フヒト「資金援助ですか? そんなものはもう必要ありません。新しい部隊を組織したのです」

ルーファウス「何!?」

フヒト「もはやあなたに利用価値はありません!」

ルーファウス「くっ、私としたことが・・・」

フヒト「今ごろ反省ですか? だから、あなたはいつまでも父親を超えられないのですよ」

ルーファウス「なにっ!」

フヒト「さぁ皆さん、始末してください」

同じ階の通路からもアバランチが襲い掛かる。

ヴェルド「お前達!! 副社長をお守りしろ!!」

一撃でアバランチを倒すヴェルド。

ルーファウス「見事だな、ヴェルド君」

レノ「さすがは主任だぞ、と」

ツォン「まだ油断はできない」

ルード「次が来る」

ヴェルド「副社長に指一本触れさせるな!全員で護衛しながら魔晄炉を脱出する」

「了解!!」

アバランチと連戦。

上の階のフヒトの元にやって来たシアーズとエルフェ。

シアーズ「準備が終わった」

エルフェ「いつでもここを爆破できる」

エルフェの声に驚く下の階のヴェルド。

ヴェルド「その声は! フェリシア!? 生きていたのか!?カームの誤爆で死んだはずじゃなかったのか!?」

エルフェ「!? カーム・・・爆発・・・実験室・・・」

エルフェの記憶が所々蘇る。


実験室の映像(神羅屋敷?)

『実験は失敗だ。サンプルは処分しておけ』

(やめて)

『次はヴェルドの経過を見よう』

(私、死んでない)

火事の映像?

(痛い・・・痛いよ・・・)

ヴェルド『しっかりしろ。すぐ治療してもらう』

父親に高い高いをして貰う幼い自分の映像。

ヴェルド『今日は非番だ。一日遊べるぞ〜』

エルフェ 『ホント!?』


エルフェ「・・・・・・・・・父さん?」

タークス「!!」

シアーズ「父さん!?」

フヒト「!!」

エルフェの身体の周りが青白く光り、倒れるエルフェ。

シアーズ「エルフェ!?」

エルフェに駆け寄るシアーズ。

フヒト「フフフ。ついに始まりました」

シアーズ「なに!?」

フヒト「これで私の準備はすべて整いました。記憶を取り戻した事が引き金になったようです」

エルフェを抱き抱え、その場を去るフヒト。

フヒト「星を傷つけるすべての無価値な者達よ。星へ帰りなさい。そして傷ついたこの星を癒すのです!」

ヴェルド「フェリシア!!」

シアーズ「くっ」

フヒトを追い掛けるシアーズ。
そのただならぬ様子に、急いで後を追うシアーズ。


ロッド「主任の娘さんは生きていたのか!」

ヴェルド「・・・・・・・・・」

ルード「・・・だが・・・」

ツォン「・・・・・・・・・」

レノ「よりによって敵のリーダーとはな、と」

ヴェルド「くっ・・・」

ツォン「・・・・・・主任! エルフェを! フェリシアさんを追ってください」

ヴェルド「それはできない」

レノ「そうだ! 早く行かないと見失います、と」

ヴェルド「だが・・・」

ルード「せっかくの再会です」

ヴェルド「俺は・・・」

ロッド「主任がやりたいようにしてください」

ヴェルド「タークスだ・・・」

ツォン「主任はいつも私達のことを考えてくれました。今度は私達が主任のために動きたいのです」

ヴェルド「・・・皆、副社長を必ず無傷で本部までお連れしろ」

ツォン「はっ」

一連のやり取りを黙って聞いていたルーファウスが口を開く。

ルーファウス「生きてタークスを抜けるつもりか? 不可能だ。死以外でタークスを抜ける方法はない。それは君が一番よく知っているはずだ」

ルーファウスを見るヴェルド。

ヴェルド「副社長、あなたの不祥事はタークスのみが知るトップシークレットです。タークスが隠蔽し、重役にすら明かされません」

ルーファウス「フン・・・」

ヴェルド「そしてこれが私の最後の仕事です。社長からのご伝言です。謹慎中に、広い見識を身につけるようにとのことです」

ルーファウス「くっ(なんたる屈辱的な処置だ!やはり私はおやじを超えることはできないということか)」

ヴェルド「副社長。これだけは忘れないでください。社長は昔からしかるべき時に、その座を譲るお考えでした。もちろん現在もです。子の幸せを願わない親などいません」

ルーファウス「くそっ・・・」

ツォン「主任!」

ヴェルド「後は任せた。ツォン」

ツォン「はっ・・・」

ヴェルド「タークスを頼む」

ツォン「はいっ! 今までありがとうございました。主任の信頼を裏切らない働きをしてみせます!」

走り去るヴェルド

ルーファウス「君達、急ぎたまえ。フヒトはここを爆破するつもりだ」

レノ「爆破!?」

ルーファウス「私が起爆装置をフヒトに提供したのだ」

ツォン「副社長、参りましょう」

通路を走るが、後方からアバランチが追って来る事に気付いたロッド。

ツォン「ロッド急げ!」

ロッド「後ろは俺が担当だ。ここは任せてくれ」

レノ「急げよ、と」

ルード「外で待っている」

ロッド「リョウカイ」

ロッド「(すぐに爆発するはず。下手したらレイブンも爆発に巻き込まれる。フヒトのやつ、レイブンを使い捨てるつもりか。あんなやつ許せねぇ)」

レイブンと連戦。

ロッド「(くっ、キリがない。このままじゃ脱出できない!)」

二丁拳銃「ロッド!」

プレイヤーがパーティーを組んでいるメンバーの内の一人が駆け付ける。
※仮名「ジェイク」

ロッド「ジェイク!」

二丁拳銃「待たせたな」

仲間と共闘。

ロッド「ジェイク急ぐぞ! もうすぐ爆発する!」

二丁拳銃「!?」

驚く仲間。

「こっちだ。駆け抜けるぞ!!」

時間制限イベント開始。
レイブンを倒しながら出口へ向かう。

ロッド「出口はもうすぐだ」

シアーズ「くっ」

仲間と共に通路(空中通路?)を走っていると、突然、上からシアーズが落ちて来る。

ロッド「!!」

ぶつかったのか、ロッドも手摺を乗り越え、シアーズ諸共下へと落ちて行く。


画面切り替え。魔晄炉の外に立つ、ルーファウスとタークスメンバー。
プレイヤーの仲間だけが出て来たので、ツォンが尋ねる。

ツォン「ジェイク。ロッドはどうした?」

二丁拳銃「魔晄炉に転落した」

ツォン「ロッド・・・」

ルーファウス「くっ・・・」

ロッド「奴はきっと生きてるぞ、と。なんせ、あいつはタークスだからな、と」


画面切り替え。神羅本社ビル会議室。

社長「スカーレット。コレルへ飛べ。コレル魔晄炉が爆破された」






17章

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