心と体は裏腹。
なるほど。まぁ、確かに。
18歳ってのは見た目は大人に成長してるようだけど、脳味噌の方はまだまだお子様。
落ち着いて見せても、多感なお年頃。
ドキドキもワクワクも未だ健在。
可愛いオンナのコのウルウル目よりも真っ先に巨乳に目が行くし、エッチなビデオを見れば興奮もする。

そんな輝ける青春キラキラ☆エイティーンはアイツも例外ではなく。

今、まさに


「…っ……は、ぁ」


金髪のオネエチャンのAVをオカズに天国間近ってヤツみたいです。





リバース・チャンス






「はぁ…はぁ……っ」


テレビ真正面のソファに座り、イイコトしちゃってる最中のようです。


「んっ…ぁ、は…」


まぁ、夜中だし?
俺、暫く出張だったし?
ってか、オナニー覚えた10代の野郎なんて毎晩天国イっちゃうもんだよな、分かる分かる。

…俺はしなかったけど。


「…ふ……んっ…」


だって、いつでも直ぐにヤらしてくれるオトモダチがいっぱいいたんだもん♪

…って言ったら、殴られたよな。確か。


「……っ…ん」


さて。どうしましょ?

滅多に見る事のない(ってか、お初にお目にかかります)君のひとりエッチをただ温かい目で見守るのも何ですし?
ここはやはり、ドラマチックに演出なんてしたいじゃないですか。

イヤン。レノ様ったら優し〜い♪


「は…は、あ…ぁあ」


そーっと、そーっと手を伸ばし。


「あ、あ、」


君の目の前に金髪巨乳の天使様がお迎えに来る、その直前!





「ただいま♪」

「ふぇっ???!!!」





ソファごしに後ろからぎゅっvとハグ。

その肩に顎を乗せて下を覗いてみると…セーフ! 股間に押し当てられたティッシュはまだベチャベチャに濡れてはいないようです。

こんな面白いモノ、卑猥なエンジェルに持ってイかれてたまりますか、と。


「お手伝いしましょうか?」


にっこり微笑んで、そーっと手を伸ばす。

ギギギギギ…とロボットみたいに動きだすの頭。
真ん丸に見開いたままの目と目が合った途端。


「…ギ」
「ぎ?」

「ぎやああああああああっっっっ!!!」


ガンッ!


「へぐっ」


俺の脳天にお星様が舞った。





キーラーキーラーひーかーるー
おーそーらーのーほーしーよー☆





目が覚めた時、は部屋の角にうずくまって真っ赤な顔でワンワン泣いていた。


「信じらんねぇぇぇっ!! こっそり見てたなんて、このヒトデナシぃぃぃぃっ!!」


えー。
据え膳食わぬは男の恥って言うじゃねーか。
…食ってねぇけどさ。

ってか、マジで頭痛いんですけどー。

まだズキズキする後頭部をさする。
あー、タンコブできてらぁ。
何で殴ったんだ、コイツ?
よくよく見れば、泣き崩れているの足下に灰皿が転がっていた。

はは〜ん。なるほど。あれが凶器か、と。

………。

って、灰皿ぁぁぁぁっ?!


「信じらんねーのはテメェだ、アホ! なんつーもんで殴ってんだ! 俺を殺す気か!!」
「死ね死ね死ねっ!! テメェなんか死んで閻魔大王に舌引っこ抜かれりゃいいんだっ!!」


か、可愛くねーっ!

ズンズンと大股で近付いてのスウェットの襟を引っ掴むと、同時にも泣きながら俺のシャツの襟を掴んできた。生意気な!


「ブーッ! 違いますーっ!! 閻魔大王は嘘つきの舌を引っこ抜くんですー、と!」
「嘘つきじゃねーか!! 出張から戻ってくんのは明日だって言ってたじゃねーか!」
「一日早く帰って驚かしてやろうってレノ様の心温まるサプライズが分かんねーのか!!」
「いらねーよ、そんなサプライズ!! もっとデリカシーのあるヤツだと思ってたのに、ほんっとにどうしようも無ぇヤツだな、このロクデナシ!!」
「今更マスかいてるとこ見られたくらいでギャーギャー騒いでんじゃねーよ! 処女かテメェ

「ギャーーーーーーーーーー!!」


ガンッ


「はっ…」





キーラーキーラーひーかーるー
おーそーらーのーほーしーよー☆





目を覚ますと、見知った天井が見えた。
あれは、そう。
寝室の証明。


クラクラする頭でよーく思い出してみる。

俺は誰だ?

俺はレノ。イカした自分を追求するナイスガイ。OK。知ってる。

で、ベッドに転がった俺の足から今まさにスラックスをはぎ取ろうとしているクソガキは
マイ・スイートラバー。OK。知ってる。

………って。


「何やってんだ、テメェ!!」


起き上がろうとしたが、両手がベッドの格子に括られて自由が効かねぇ。
代わりに足をバタバタ動かすと、がとても恐ろしい顔で…。


「今度は脳天かち割るぞ」


って灰皿を掴んで見せるものだから。


「………ハイ」


大人しくならざるを得なかった。

しかし、灰皿チョップ2発くらって割れなかった俺の頭ってスゲェ。
頑丈な体に産んでくれたママンに感謝だぞ、と☆
…って、オフクロなんて会った事もねぇけどよ。


そんな事を考えてるうちに、スポンと俺の両足からスラックスが引っこ抜かれた。


「……ところで、君。これは一体何のマネかな、と?」


ジャケットは脱がされ、上はカッターシャツを着ているのみ。
下はボクサーパンツ1枚。オプションとして靴下穿いたまんま……これはちょっと


「……マニアックだぞ、と」

「って、そこかよ」


ドカッと俺の腹に跨って俺を不機嫌な顔で見下ろすは、上下スウェットしっかり着ちゃって可愛くない。
嗚呼…。
さっきの、片足にトランクス一枚引っかけただけの卑猥で可愛いちゃんは何処へ?


「今日という今日は絶対許さねぇからな…」


遠い目をしていたら、ギロリと睨まれた。
おお、怖っ。


「……オマエ、何そんなに怒ってんだ?」


純粋にそう不思議に思って聞いてみたら、


「アンタのそういう、自分は何一つ悪いと思ってねぇ所に怒ってんだよ!!」


逆鱗に振れてしまったようです。

…えー、俺の悪い所?
俺の悪い所ねぇ……
………
………
………
駄目だ。思い付かん。


「どうせ、身に覚えがねぇとか思ってんだろ」


ギクリ。


「……イヤン。以心伝心? さすがハニー。相性ぴったりだぞ、とv」
「そういう、すぐに茶化すとこもムカつくんだっての!」


うわ、火に油。


「いっつもいっつも俺にどんな酷ぇ事してるか、今日こそ思い知らせてやる!!」


え。


ビリビリビリーッと俺のシャツが引き裂かれてボタンが弾け飛んだ。


ええ。


俺の首筋にべロリとの舌が這う。


えええ。


愛撫というには随分と粗っぽい仕草で俺の胸を撫で回すの掌。


ま、まさか。


まさかまさかまさかまさかまさかまさかまさか


「ちょ、ちょちょちょ、ちょっと、君? 何、これ? どういう事?」
「ああ?」
「もしかして、もしかして、オマエ」
「んだよ?」


サーッと血の気が引いていく。


「き、騎上位?」
「なんでアンタが喜ぶ事してやんなきゃいけねーんだよ」


ニヤリと笑みを浮かべる君。





って事は…って事は…。





「お、俺を掘る気か、テメェェェェェ!!!」


「おおよ! 俺が日々どれだけ屈辱的な事をされているか、とくと味わうがいい!」
「ふっざけんなよ! そんなもん読みたがる読者がどこにいる!! サイト傾向を思い出せ!」
「いいじゃねぇか、新境地切り開いてみると案外イケるクチかもしれねーじゃねぇか!」
「はぁぁぁなぁぁぁせぇぇぇぇっ!」
「あぁぁぁきぃぃぃらぁぁぁめぇぇぇろぉぉぉっ!」


俺の右膝蹴りがの脇腹にクリーンヒットする。
の右アッパーが俺の顎に激突する。
俺の頭突きがの額に。
のボディブローが俺の腹に。
俺の(以下略)。
の(以下略)。





ドッタンバッタンドッコンバッコン。





数分後にはお互いボロボロのヘロヘロになってベッドに転がっていた。

あぁ…息苦しい。


「オマエさぁ…」
「……んぁ?」


ゼェゼェと肩で息をしながらが顔を上げる。


「そんなに俺を抱きてぇのか、と…」
「……んー」


元々コイツの思考回路は単純だ。
あれだけ暴れ回れば怒りの方はかなり治まっただろう。


「……よくわかんねぇ」
「じゃー、これ外せ」


もう無意味だろ?とベッドの格子に括られたまんまの両手を少し動かしてみせると、はそれを見て


「…でも、こんな面白いチャンス滅多にねぇんだよな」


と考え込む素振りをした。


おいおいおいおい。
考え込む事か、それ。


「ちょっと、君?」
「あまり考えた事が無かったけどさ、別に俺とレノの立場が逆転したっておかしくねぇよな」
「え」
「ほら。どっちも男なんだし、それってつまり、どっちが下になってもおかしくねぇって事じゃん?」
「え」
「レノのヨガル顔にも興味あるし」
「え」


だらだらとイヤな汗が流れ始める。

それって…それって…。


「お、オマエ、ゲイだったのかっ?! ケ、ケ、ケダモノー!」

「いや、アンタに言われたくねぇし…」
「誤解するな! 俺はゲイじゃねぇぞ、と!」
「俺だってゲイじゃねぇよ!」


「……え?」
「……は?」

「………」
「………」


あれ、何の話だったか?
二人で首を傾げ合って、とりあえず本題に戻した。


「だいたいなぁ、俺がオマエみたいにヨガったりすると思うか? ってか、オマエ、そんなテクもってんの?」
「テク?」
「どれだけ経験あるんだって聞いてんだよ、と」
「経験……え、レノはあったのかよ?!」
「俺は、」

「アンタ、ゲイだったのか?! このケダモノ!!」

「オマエに言われたくねぇよ!」
「俺はゲイじゃねぇっつってんだろ!」
「俺だってゲイじゃねぇぞ、と!」

「……え?」
「……は?」

「………」
「………」


いや、だから話戻して。


「…あのな、男の経験なんか聞くわけねぇだろ。そんなもん、あるわけねぇって思ってるし、初めてヤッた時にあれだけギャーギャー言われれば誰だって未経験だって分かるっつーの」
「………ぅ」
「で? オマエ、どれだけ経験値積んで俺を抱きてぇなんて言ってんだ?」
「………ぅぅ」
「どうせ悪さしてた頃、年上のオネェチャンに乗っかられて、その後もせいぜい一度か二度酔った勢いでヤっちゃったくらいじゃねぇの?」
「………」
「図星?」


不躾な質問だが、的を射てるとは思う。
元々、は性的なことに関しては淡泊な方だ。
可愛い女の子の柔らかそうな唇より、その下で揺れてる巨乳より、その手に握られたケーキ屋の箱に目が行く。そんな男なのだ。花より団子だな。お子ちゃまめ。


「……ぇよ」
「ん?」
「……ってんだよ」
「はい?」


ギロリとの恐ろしい眼光が俺を睨みつけた瞬間、灰皿クラッシュが降り懸かるのが見えた。


「経験値なんかこれっぽっちも積んでねぇっつってんだよ、このクソ変態が!」


「?!!!」


必死に体を捻って避けたおかげで、の手に握られた灰皿はボフッと枕の中に沈んだ。
間一髪!

ってか、え?


「…積んでない?」
「……悪かったな」
「それってゼロって事か?」
「……うるせぇよ」


え、それって、それって、まさか…


「オマエ、まだ童貞だったのか?!!」


「だからデケェ声出すなっての!」
「だって、オマエ、ありえねぇだろ! 一応ギャングチームの頭はってたんだろ?!」
「一応も何も、マジではってたんだよ、頭!」
「そんな奴が18にもなって童貞?! なんだそりゃ、都市伝説?!」
「いいじゃねぇか、別に! GT●の鬼塚なんか20代で童貞だぞ?!」
「G●Oの鬼塚は男に走ってねぇだろ!」
「俺だって男に走ったわけじゃねぇよ!」
「じゃぁ、なんで俺を抱くなんて言ってんだ、テメェは!」
「………そ、それはっ」


言い淀んで目をそらし、ポツリとは答えた。


「…なんとなく?」


「なっ…」


なんとなくで、抱きたいとか言われる俺って一体…。


「………」
「………」


暫く複雑な沈黙が続いた後、俺は盛大に溜め息を吐いた。


「つまり、オマエは俺を(なんとなく)抱いてみたい、って事だな?」


「…うん」


コクリ、と俺の腹に跨ったまま大人しく頷く
俺の胸の奥がうっかりキュンと疼いてしまった。
そうやって、しおらしくしてりゃ、ちょっとは可愛いのによ。

しょうがねぇ…。

ここは俺が一つ大人になってやるか。


「……つまり」
「………」
「…つまりオマエは…処女だけじゃなく童貞も俺に捧げたい、そういうわけだな?」
「……ぇ?」


目を真ん丸に開いてパチパチと瞬きする
だって、そういう事だよな。

俺を抱きたい→俺に突っ込みたい→初体験→童貞喪失

うん。間違いない。

ニタリ、と自分でも分かるくらいにイヤラシイ笑みを浮かべてやると、キョトンとしていたの顔がみるみる青褪めていく。


「何考えてるか当ててやろうか?」
「……う」
「『処女どころか童貞喪失の相手までもレノだなんて、男として俺、どうなんだ?!』」
「ううっ」
「当たらずとも遠からず、ってところだろ、と?」
「〜〜〜〜っ!!」


ほぉら、図星。


「あ、あのさ、レノ…」
「んー?」
「さっきの話、その…聞かなかった事にしてくんねーかな?」
「んー……」


そぉっと俺の上から退こうとする

そうはいくか!


「何言ってんのかな、と?」
「!!」


ガシッとの腰に足を絡ませて、ベッドの上にを引き倒す。
ドスンとスプリングが派手に軋んだ。
驚いている間に、形勢逆転。マウントポジションをゲットする俺。


「なっ?!」
「ん? あぁ、手? レノ様ってば足癖も悪いけど手癖も悪いんだぞ、と。縄抜けなんて大得意v」
「〜〜〜!!!!」


悔しそうに歯を剥き出しにする
唇に親指を押し当て、むにむにとイジってやると、噛みつこうとしてきたので、慌てて手を引っ込める。
やっぱ、君はそうでなくてちゃな、と。


「さてさて、君?」
「う…」
「俺も男だ。そこまで頼まれると断れねぇし」
「うう…」
「しょうがねぇから童貞受け取ってやるぞ、とv」


「うわあああああああああああああっ!!
待った待った待った待った! やめろ、マジで! 頼むから!!
って、ズボン下ろすな!! やめろぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」




「♪」



その後、君の童貞喪失の刑が執行されたかどうかは…。


君とレノ様の秘密だぞ、とv





-end-




■ あとがき と言う名の言い訳■
またバカな話を書いてしまった(笑)
じつはFFコンテンツを扱い始めた初期から頭の中にあったお話です。
ようやく形に出来ました。はぁ、すっきり(笑)
実際にロッドがチェリーとは思えないんですが…それはそれで面白そうだと思いまして。
ちなみにロッドの童貞喪失=レノの処女喪失という事にもつながってしまうのですが
男として痛いのはロッドの方ですね、これ。
うちのレノは自分が痛くてもロッドを苛められるのなら全然OK、という困った奴ですので、自分の貞操はどうでもいいみたいです(えー)
さてさて、この後どうなったんでしょうね♪

2010/11/14 (日)

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